地元のおじいちゃん、おばあちゃんから聞いた昔のお話を、メモ書きするページ

今年85歳になられた能家のおばあちゃんの幼少時代
今年85歳になられた能家のおばあちゃんの幼少時代
夏場、ぶどうを食べる。
夏場、ぶどうを食べる。
芸達者な人が多かった能家では、年に7回も大きな祭りがあり、天狗のお面をつけて踊る”にょんにょん祭り”は多くの人でにぎわいました。
芸達者な人が多かった能家では、年に7回も大きな祭りがあり、天狗のお面をつけて踊る”にょんにょん祭り”は多くの人でにぎわいました。
昔の結婚式。派手なトラックがやってきて花嫁家具を運ぶ。
昔の結婚式。派手なトラックがやってきて花嫁家具を運ぶ。
田んぼがある限り、長閑な風景は今も昔も変わらない。
田んぼがある限り、長閑な風景は今も昔も変わらない。

井(ゆ)のお話

能家は、北川筋に集落を構えています。北川の水は田んぼなど暮らしを支える最も大きな水資源でした。

能家には、6つの井(ゆ)があって、そこで水をせき止め(一時的なダムみたいなものです)、水の沢山いる時期に田んぼに行かしたり、筏流しに利用したりしてきました。

井(ゆ)の名前は次の通り。

①大井(おおゆ)…今でもサイドの柱の部分が残っている

②檜口(ひのきぐち)

③新湯(しんゆ)…能家で一番高い所にある。

④日の谷(ひのたに)…

⑤割船(わるむね)

⑥上谷(うえだに)

あったかくなったら、6つの井の調査をしにいこうっと。

お風呂のお話

昔は、毎日各家庭がお風呂を個々に沸かすということはありませんでした。

今夜は~さん家がお風呂沸かしてるし入れてもらいにいこ♪

という風に。

そういえば、私が大学生の頃、青森で困った旅をしたときのこと…

冬場、お湯を沸かすには沢山の薪(熱資源)がいるので、銭湯(といっても温泉の源泉が市民価格で入れる)を利用する方が楽。

コミュニティーで生活することで、各家庭の負担を減らし、エネルギーも手間も無駄のないような、効率のよいシステムが自然に出来上がっていることに驚く。

 

能家の若いおかみさんたちが、子どもたちを引き連れて、着替えと手ぬぐいと石けんなどのお風呂セットを片手に、着物で近所へすごすごと出かけていく夕暮れ時を想像してみると、何ともほほえましい。

橋から落ちたお話

最近、針畑をつなぐ県道で、地子原の90度急カーブの道と橋が工事され、緩やかなカーブの新しい橋がかけ直された。

この橋の名前は『高橋』。橋の名前としては、なんとも名字みたいで個性がないなぁとがっかりしていたところ、由来を聞くと、昔からここに架ける橋は、川から高い所にかかっている橋だったので、『高橋』と呼んでいたそう。この広くて頑丈な橋も、昔はか細い橋だったそうで、自転車で人が落ちたことがあるらしい。

…人が落ちる、という話から、「そういえば、あの南無阿弥陀仏の橋はの…」とおじいちゃんが語り始めた。ごくっと息を飲む。

南無阿弥陀仏の橋というのは、大津市梅の木町から針畑へ続く県道にあって、今は新しい橋がかけ直されているが、かなり高所で急斜面の難工事だったそう。細い細い旧道が横に残っているが、もう土砂崩れで道の大部分がなくなってしまっている。この橋が無事渡れたらお経を唱えるほどだったということから、この辺の人はそう呼んでいる。

「ここでも、自転車で人が落ちたことがあってな」

『高橋』の転落ならまだましかと思うが、南無阿弥陀仏の橋は…現場を思い浮かべてみると50Mじゃきかないくらいの高所だと思う。

落ちた人はどうなったん!!?さすがに大事故やんな。

「上から大丈夫かー!!と声はりあげて叫んで、んで何人か助けに降りたらんな…」

!!!

「野イチゴ食っとった」

爆笑。

おしまいおしまい♪

子ウサギのお話

能家のTおばあちゃんの旦那さんは、もう他界されて7年ほど経つのですが、そのおじいちゃんが50か60歳の頃の思い出。

おじいちゃんがいつものように山に入って、杉の手入れなどの作業をしていると、なんともかわいい子ウサギが足もとにちょこんと。手のひらに乗るぐらいに小さくて、親ウサギも見あたりません。このままやと死んでまう、ということで、作業着の胸ポケットにしのばせて帰ってきたそうな。

子ウサギは、牛乳や猫のエサなど何でも食べ、おしっこも猫と同じようにしつけられ、たちまちおじいちゃんによくなつきました。

おじいちゃんはもともと動物の世話好きで、よく畳の上に寝ころんでは子ウサギをあやしていました。

夜は、おじいちゃんの胸の上に子ウサギが乗って一緒にすやすや眠り、おじいちゃんの呼吸の上下に合わせて、子ウサギも揺れました。

ある日、子ウサギを家の中で放していた折に、前の道を大きなトラックが通り、ゴトゴト大きな音を立てました。

その音にびっくりしたのか、子ウサギは突然開いていたドアから飛び出してしまい、どこかに駆けていってしまいました。

家の皆が残念がり探し回りましたが、二度と戻ってくることはなかったそうです。

まさるさんとヤマネ

地蔵谷の入口に農機具小屋があります。まさるさんが昔自分で建てた小屋です。

「あのさァ、ヤマネがよ」

まさるさんの昔語りが始まると、つい道路の真ん中でも車を停めたまま話に夢中になってしまうのです。

ある日、小屋で作業をしていると、ヤマネがしょこしょこっと出てきて、走り回ったのです。一見ネズミのような、でもよく見るとまるこくて背中にシュッと黒い線がある、かわいいやつです。

ヤマネはまさるさんの作業服の懐に入り込んでしまって、まさるさんの服の中をしばらくごそごそしていたんだってさ。

 

今は数を減らして、滅多にヤマネなんて見られないけど、昔はたまに出てきて、人と動物の素朴であったかいふれあいがあったんだなァ。