木に会いにゆく

今日は、うちの田んぼに山水を供給してくれている地蔵谷の奥へ、トチノキの様子をうかがいに。

木の場所の記憶が曖昧だったので、地図を引っ張り出してくる。地図片手に山歩きなんて、相当久しぶり。
クマ鈴と長靴、ポケットにスマホとリップ。水もおにぎりも持たないで極々軽装で行けるのは、なんせ家の裏山だから。
朝なのに曇りのせいか、森の中は薄暮。クマ出そうな雰囲気ぷんぷん。クマはぎの跡に、風の低いうなり声に、いちいちびくっと反応してしまう自分が滑稽。
歩きにくい谷筋の緩やかな登り。ほんの2kmほどの距離なのに平地歩きより時間はかかる。
「どうもこんにちは」
トチノキは目立った落枝もなく、以前と同じシルエット。
根元には落ち葉がわんさか。夏場にめいっぱい葉を広げたんだろう。元気な証拠。
それにしても、トチノキのある森は、そう変化がない。季節の移ろいだけ。
台風のとき、世間はわたわた、うちの家も県道もスギ林も荒れ放題。停電でわぁわぁお祭り騒ぎなのに、広葉樹の奥山はさほど外傷もなく、大水がでた形跡もなく、落ち葉は同じところにあるし苔はむしたまま。

 

「何が肝心か」森の神さまが穏やかに一蹴。


幹のようにごつごつした根ががっちり土をつかむ。300年以上も昔、たまたま芽吹いた場所が一生涯の地。
少々のことにはびくともしない、木の長い歴史。
こんな巨木がすぐそばに在るなんて、何だか心強い。私の行いひとつひとつをいつも見守ってくれているような気がする。