田んぼの学校

京都からボーイスカウトの子どもたちが田植え?(というか、田んぼ遊び)に来ました。

到着するなり車からもじゃもじゃ這い出して来て、田んぼを走り回るやんちゃな子たち。

初めての泥んこ、イモリに大はしゃぎ。

小学生1~3年生の子どもたちにまぎれて、中学生の☆くんも来てくれました。☆くんは、身長が私の腰のあたりの高さだったちびっこ時代から知っているのですが、今や160cm近く。ちょっと見上げて会話するのが変な感じ。普段は無口だけど、ぼそっと面白いことを言う、そしてたまに笑うととってもかわいい、そんなところは相変わらず。

田んぼで恒例のターザン遊びやイモリ競争で遊び倒した後、やっと「今日は寒い」ということに気が付くちびっこたち。やっと着替えモードに切り替わる。

そんな昼下がり、後片付けを始めていると、☆くんが私の隣にそっとやってきて、両手を差し出す。手のひらにはモリアオガエルの卵塊。

「これ、安全なところに置いといて」と小さな声で言う。

さっき子どもたちが、柵にぶら下がったモリアオガエルの卵塊を見つけて、その柔らかなパン生地みたいなシュークリームをいじって遊んでいた。かわいそうだけど、と思いながらも、子どもたちにとっては大事な原体験のひとつ、と目をつぶる。散々触ってくちゃくちゃにしてどこかにぽいっとして着替えに行ったのだろう。そのシュークリームを☆くんは両手の手のひらにすくうように大事にもってきてくれたのです。

「あと、イモリも弱ってたしそっと逃がしといた」

 

☆くんが小学生だった頃、よく一緒にイモリやカエルやカナヘビをつかんだり、いろんな植物を採ったりして遊びました。命の扱いを知らないちびっこは、傷つけたり死なせてしまったり…そんな経験を繰り返しました。小さな命を握りつぶした小さな手が、数年を経た今、たくましい手でたくさんの命を守ろうとしている。小さな殺戮の繰り返しが、成長と共に優しく素朴な心を形成して、心は何年もの長い時間をかけて色を塗り重ね重ねて色彩豊かになっていく。一枚の美しい絵画を目の当たりにして、ついうるっときてしまいました。

自然と子ども、やったりやられたり、守ったり守られたり、助けたり助けられたり、相互に関わりあいながら、仲よく。自然は、子どもたちにいたずらされることもちゃんと計算にいれて、生きているんじゃないかな~と思っています。